2009年06月22日

補助金獲得の歩み ~戦略補助金の基礎知識~

下通アーケード改修委員会、実行委員長の高柳です。
久しぶりの更新となりますが、今現在もまだ、報告書等作成途中です。
これから申し込みをされる組合の場合、専任の方を雇われる事を強くお勧めいたします。
普通の組合に参加する組合員では本業が手につきません・・・。
よほど余裕があるか、腹をくくってアーケードと共に心中するか(苦笑)
私の場合はコンサルタントに転向しようかなと思う今日この頃です。


さて、戦略補助金について引き続きお話しさせていただきましょう。

この戦略補助金ですが、色んな方からご質問を受けるたび、
誤解されておられるなと感じることがしばしばあります。
そこで、誤解を解くという意味で少々解説させて頂きます。


1.戦略補助金は実費弁済(←重要!)です。

実費弁済とはなんぞや?
これはつまり、事業に掛かった費用分だけ補助金を認めるということです。
つまり・・・。

事業認定されても、補助金認定額の全額を貰えるとは限らない。

ということです。
例を持って説明すると・・・。

a.3億円の事業が戦略事業の認定を受ける。
b.補助金認定額は2億円(3億円の3分の2)となる。
c.入札の結果、2億4千万円で事業を実施した。
d.実施結果より、補助金は1億6千万円で確定(2億4千万円の3分の2)。

つまり、実際に掛かった費用の3分の2しか補助金は補填されないのです。
入札の結果、総事業費が下がったら補助金額も下がります。
もちろん自己負担分も下がりますので、どうやっても入札をやったほうがお得なのですが。

また、事業費は補助金対象経費と対象外経費とに分類されます。
対象外経費の部分はどうやっても補助金は認めてもらえません。
先ほどの例を持って説明すると・・・。

a.3億円の事業が戦略事業の認定を受ける。
b.補助金認定額は2億円(3億円の3分の2)となる。
c.入札の結果、2億4千万円で事業を実施した。
d.2億4千万円のうち、3千万円が補助対象外と判断された。
e.補助対象経費は2億1千万円で確定。
f.実施結果より、補助金は1億4千万円で確定(2億1千万円の3分の2)。


このように、当初の事業認定額はあくまでも補助金枠であって、
支給額ではないというところに注意が必要です。

で、よくある質問が、安くなった分、追加で別の事業を行えるのでは?というもの。
これも結論からいうと不可です。
こういうものは全て補助対象外経費として判断されます。
どうしても認めてもらいたい場合は事業申請を改めてやり直すか、
事業内容変更申請というものを行って、事業申請をやり直す以上に説得力のある
内容を、資料と共に懇々と説明する
必要がありますが、いずれにしても相当に
ハードルの高い行為であることは間違いなく、あまりお勧めいたしません。

事業の再申請は採用されるかどうか、また満額認められるかどうか分からない
ので余りにもリスキーですし、内容変更申請のほうは経験談として、そもそもの
事業分と内容変更分とがごっちゃになってしまう上に、やったほうがやらない
よりもこんなにメリットがあるんですよ!ということを客観的資料を揃えた上で
説明しないといけません。もちろんそれは、そもそもの事業目的と完全に合致
しておかねばならず、誰もが納得できる位完成度が高くなければなりません。
事ここにいたっては、担当者は商店街の輝かしい未来を信じてそれに殉じる
覚悟が必要でしょう。


2.戦略補助金は基本的に単年度決済です。

工期が延びて年度内に終わらなかったら・・・?
自己負担分を増やし人員を増員するなどして、
どうにかして会計年度内に完成させてください!
とにもかくにも会計年度内に竣工です。
竣工さえしてしまえば何とかなります。
もしどうやっても竣工のめどすら立たないときは・・・。
事業の認定取り消しを行い全額自己負担する(普通こんな
ことをしたら、どんな組合であっても破産します)か、
最後の手段として、遅延等報告書の作成をして
補助金の次年度繰越の申請と工期延長のお願いをします。

この遅延報告書は始末書程度のものでは、当然ながらありません。
どうして当初見込みとずれたのか、なぜ年度内完成が不可能なのか。
それが事業実施者や請負業者の責任ではなく、事業計画時点では
予測のしようが無い、不測かつやむをえない場合に限り認められます。
台風が直撃したなどの避けようのない天災の類が主な例です。
単に時間がかかった程度の理由では認められることはありません。
しかも、補助金自体は経済産業省の決済なのですが、予算の編成は
財務省の管轄です。ということで、補助金の次年度繰越は
財務大臣と経済産業大臣の大臣協議事項
となります。
これがどれだけ手間が必要になるのかはご想像にお任せいたしますが、
担当者にとっては眠れぬ夜を過ごすどころではなく、現実問題として
眠れるような時間的余裕はありません。少なくとも1月末には全ての書類を
まとめて提出しておかないと繰越できません。万が一このような事態になったら、
担当者は御仏の心、全ての生命に対する慈悲の心を持って尽くしましょう。
嘆いても憤っても何も解決いたしません。ただ、やるのみです。


3.補助事業の手続きは事業申請で終わりではありません!


事業申請もいくつかのハードルがあることは以前ご説明しておりますが、
認定後も事業を進めていく過程でいくつもの書類を作成する必要があります。

a.事業経過報告書
b.概算払請求書(中間支払い等で必要な場合のみ)
c.事業実績報告書
d.精算払請求書
e.取得財産管理台帳
f.消費税額および地方消費税額の額の確定に伴う報告書
g.事業効果報告書(事業完成後5年間、毎年度提出)

その他、必要に応じて必要な様式の定められた書類があります。
もちろんこれらには、添付資料としてそれなりの資料が求められます。
補助事業によって取得したものは国の補助金を受け取ったものですから、
半ば国有財産のような扱いを受けます。ですので、勝手に処分する事はおろか、
改造や改築、補修等も含めて全てお伺いを立てねばなりません。
血税の補助を受けるのですから、そのくらいの手間隙を惜しんではいけません。
とにかくなにをするにしても、まずは相談です。勝手に進める事の無いように
くれぐれもご注意下さい。さもないと最悪は補助金を返還せねばならない事態に
陥る事になるでしょう。


補助事業というものは手間がかかる反面、完成したときの達成感は何ものにも
変え難いものですし、自分自身の自信にも繋がります。最大の成果は箱物では
なく、人脈、ネットワークでしょう。組合の連帯感、結束は飛躍的に強まりますし、
相互理解も進みます。また行政や所轄各所など様々な連携と連帯もできます。
そこに携わる人との連携と協力が最大の成果といえるのではないでしょうか?
そうした中から新たな動きが生まれていけば、そしてそれが少しづつ大きくなって
いけばしめたものだと思います。このブログを参考に補助事業を進められる皆さんが、
一致団結して素晴らしい事業を育て上げる事を心より願っています。



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